- Page 6 -

From Yuko to Keiko 7/23/1999 「Oxfordから(1)」 (Oxford)
From Keiko to Yuko 7/23/1999 「Re:Oxfordから(1)」 (Tokyo)

From Yuko to Keiko 7/23/1999 「Oxfordから(1)」 (Oxford)

Dear Keiko

メールありがとう。 さわやかなEnglish Morningです。 もちろん、Early Morning Tea付きの。 ベッドの中でのTeaは日本では日曜の朝だけの 楽しみ。でもOxfordでは毎朝。ただし、夫が 滞在している間だけ、なんて書くと、またノート の材料になりそうですか?

「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので、 事実を忠実に解放するだけで、誰の人生も 充分、小説になるのでしょうね。

最近、日本の生活が朝も夜もなく、活動しているような ものだったので、イギリスに来たからと言って時差を 感じるようなこともない。朝5時に寝て、8時に起床。 子供達を送り出して、仕事。昼寝もせず、夜がまた 来て、飲みに行き、寝るのは朝2時だなんてことも 日常だったしね。ただし、これを続けると、そのうち 上の空人間となり、自分にとって一番大事な情報しか 入らなくなり、発信できなくなり、そのうち、終には Close Downという結果を招く。

昼間は寝ていないまでも、Day Dreaming状態だしね。 先日のコンサートに来てくれたM子さんが うちの娘に 「Aちゃん、あなたはお母さんの人生とは関係なく 自分の道をしっかり一人で生きるのよ。あなたのお母さん はあなたのお母さんではないかもよ。」 というような、ちょっと意味不明なことを言ったということ だけど(当の娘から聞いた。)

娘はしっかりわかっていて、 「だいじょうぶ。ずっと前からそうだったから、私は もちろん自分の道を生きています。そんなこと、 うちの家ではあたりまえのことです。」と応えたそうな。 彼女のスピリットはすばらしいものですが、これから 身につけなければならない(いや、身につけると便利 かもしれない)ことがゴマンとある。

母親の上の空状態はこの段階にきては、こどもの 正常な自立に一役も二役もかっているかもしれない。 だいたい、私はへたすると、A型であり、さそり型である、 大変、潔癖でしつこく、完璧嗜好性の母親になる可能性の 方が大なのだから、歌うことを始めて、大正解だよね。

本題に入る前に、今、この家の管理をしてくれいているLindaが来て、用事がありそうだから、 時差ぼけと子育ての関係論議に終始してしまった Oxford便り第1号はこんなところで。 あなたの予測どおり、私のようなおしゃべりがこのe-mailという武器を 使うとコワイのだ。

明日からポルトガル。ファド三昧をやってきます。 また、帰ってからね。

そのうちホームページも開きます。それまで、時々 あなたを宣伝手段のひとつとして使えるなんて なんてラッキー。おまけに私にとって最高の スポークスマンだし、すばらしいライターだから。

電話が苦手だったなんて今まで知らなかったよ。 ではまた。                  

おっと、もうひとつ。 私が教えている高校生ができたら、あなたが以前書いた 私についての英文のエッセイを読みたいというので、 教材に使わせてもらいます。

From Yuko


From Keiko to Yuko 7/23/1999 「Re:Oxfordから(1)」 (Tokyo)

Dear Yuko

こらこら、こっちは学期末の仕事に追いまくられて、半徹夜状態が続き時差ボケ食らっているというのに、何がEnglish Morning Teaよ。んもーっ、人のことを羨ましがらせる天才なんだから、あなたは。思い出すわ。Oxfordのあなたのおうちの窓から眺めた、早朝のグリーンフィールドを。鳥たちがバタバタッと飛び立ったり、冷たい空気が頬をなでたり。テムズ川の方へ散歩に行くと、それはそれは美しい小径で、名も知らぬ草花が挨拶してくれる。

テムズ川というと、きっと多くの人々はロンドンの街中を流れる幅の広い、大型船が行き交う、タワーブリッジやロンドンブリッジの架かった下流をイメージすることでしょう。でもテムズの素顔は、Oxfordあたりの平底船でのんびりする、もっとずっと川幅の狭い穏やかな流れの方かもしれませんね。カモや白鳥の一族が賑やかに暮らしているテムズ川の夏の様子は、全くどこをとっても絵になります。ウィーピングウィロウが垂れ下がって水辺に揺れる様を見たら、誰だって詩人になるわ。ルイス・キャロルがアリス・リデル姉妹を連れて川遊びしたあたりを毎年逍遙できるんて、あなたは幸せ者よ。こなたの英語教師は、思い出だけを温めて、来る年も来る年も「イギリス文学の流れ」なんていう科目をさも訳知り顔で講義しなくちゃならないんだから、辛いのよ。せいぜいイギリスの香りをふんだんにまぶしたメールをこの夏は送ってちょうだい。

なんと、ポルトガルですって。ファド。一体そりゃどんな音楽なの。名前しか聞いたこと無いわ。シャンソン歌手ならきっとパリに出かけてシャンソニエをはしごして歩くのだろうと思ったら、南欧にお出かけとは。まあ、日本にいて「外国旅行」を考えるのと、イギリスを足場にしてヨーロッパ各地に出かけるのでは、だいぶ感覚が違うことでしょう。北海道へ行ったり、沖縄へ行ったりする感じかな。(とはいえ、言葉が違うわよねぇ。それも心臓で、突破するつもりね。)二人で交代して運転すれば、かなり走れるかも。右側の国か、左側の国か、よく考えてドライブしてね。イギリスだけよ、左側は。あなたの運転は荒っぽくて怖いんだから。

あ、こんなこと書いてる場合じゃなかった。明日も早いのよっ。またね。

From Keiko


To the Next Page
BACK to the TOP PAGE
BACK to HOME