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徒歩記 2 「本郷の四季」 --Hongo Wonderland-- |
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庭の面白みが今の若者に通じるかどうか、またこの日本庭園が外から来た人の目に どう映るか興味があった。これまでに幾度か、東洋女子短期大学英語英文科の時代に、また東洋学園 大学現代経営学部が出来てからも、地元の名園を探訪してレポートしてみてはどうかと学生たちをけ しかけたことがある。かつての女子学生たちは史跡として関心を払い、現在の学生たちはリラクゼー ションスポットとしてよく反応する。ある男子学生は 「藤棚前のベンチが僕の一番気に入りの場所です。 寝転がって空を見たり、腰掛けて煙草を吸ったりしていると時間を忘れます。もっと若い女の子が来れ ばよいのに」 と英語のクラスで報告し笑わせてくれた。「じゃ、今度連れて行ってくれますか」と尋ね る中国人留学生に、「もちろんです」と彼は胸を張って(英語で)答えていた。若者はアミューズメン トパークに惹かれるだけではなさそうだ。彼らのグループは園内の写真を何十枚もパソコンに取り込ん で魅力的なポイントを紹介していたが、その眼差しに私も共感するところが多かった。 秋の日を浴びながら、デンマークから来た友人を伴ってここを訪れたこともある。 彼女は既に京都へも出かけ、日光も箱根も見ている。夜行列車で北海道に渡り、網走から知床を回っ てきたところでもあった。風光明媚な日本をずいぶん見ただろうに、小石川後楽園は彼女に独特な印 象を与えたようだ。「どこが?」と問うと、「コントラスト」と答える。祖国では思いも寄らぬ大規 模な都会の一隅に静寂の庭があること、しかも一朝一夕にできたものではない豊かさに驚いたという。 春先にアメリカ人の友人と共に歩いた時には満開の梅にメジロが群がっていた。それは私も初めて目にする絵のような光景だった。鳥も寄るべき樹木を知っている。実際に足を運ぶまで、これほどの庭園が こんな処にあるとはなかなか想像できない。 |
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