徒歩記 3
■本郷給水所
この公苑は給水所の上に土をかぶせて作られたものである。そしてそこに隣接するのが「東京都水道歴史館」だ。無料で公開されている。一階が「近代水道」、二階が「江戸上水」の展示場となっている。(三階は水道に関する資料閲覧室。)二階には東京の開発によって出土した江戸時代の水道木樋や木製の上水井戸が並ぶ。地下水をくみ上げる井戸の他に「上水井戸」があったというのも面白い。(時々鯉や鮎が泳いでいたとのこと。上流から流れてきたものか。)またここには江戸時代の長屋が復元してあり、上水井戸を囲む庶民の暮らしを想像することができる。そして人形劇とアニメーションを組み合わせた小さなジオラマ劇場が玉川兄弟の開削事業を子ども向けに解き明かす。単純なものながら玉川上水の歴史がよく分かる。一方「近代水道」には明治以来、どのように首都圏への給水が拡大していったのか、豊富な模型と電光掲示板、写真や図版などで詳しく説明してある。今は都庁舎を始め高層建築が林立する西新宿エリアに、淀橋浄水場があった様子を示すマジックビジョンも興味深い。ここで眺めてみると、玉川上水が江戸・東京の上水道ネットワークに果たした役割の重要性が確認できる。水のないところに人は暮らせない。確かに給水システムの成功が江戸、そして東京という近・現代都市の出現を可能にした重要なファクターだったのだろう。
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