New Zealand紀行
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New Zealand紀行 「光を観に行く」 4 カーヴする鉄路 K. Kitada (1) NZでは様々な野外スポーツが楽しめる。熱気球やハングライダー、ヘリコプターに小型飛行機など空をゆくプランも目白押しだ。夏季には山歩きを始め、川下り、海洋スポーツ全般、更にバンジージャンプのような(飛び降り系の)スリリングな活動にも人気がある。バンジージャンプ体験証明書替わりのTシャツを着て観光バスに乗り込んできた若者は、周囲の乗客から「えーっ、ホントにやった?」と歓声を浴びせられていた。広い公園をセグウェイで走り回るなどというチョイスもある。NZにはチャレンジ精神を試す巨大なアミューズメントパークの側面がある。 今回私が試したのは、鉄道だった。列車に乗るだけならスポーツとは言えまいとの意見もあるだろう。だが、sportとは「遊び」でもある。他人から見たら甲斐の無いアクティビティーこそ、もの好きにとっては楽しい。東海岸のChristchurchから平原を抜け、渓谷に沿い、Southern Alps山脈を超えて西海岸のGreymouthに至る鉄道路線を走る<Tranzalpine号>に私は乗ってみたくてたまらなかった。通常の感覚なら行った先に滞在し、乗り換えて次の地点まで移動するのが合理的だろう。私たちは、ただGreymouthまで行って帰るだけの往復切符で乗車した。片道約5時間。到着したGreymouthでの休息は1時間足らず。見物する暇も買い物する暇もない。取って返すのにまた5時間。旅行会社からも事前に「この路線を往復するだけでよろしいのですね?」という確認のメールが来た。結構!それが私の試してみたかったことです。(もっとも事前に同僚のNZ人教員に“Do you think it’s worth challenging?”?試みる価値ありそう?と聞いてみたところ、彼は真面目な顔で“Yes.”と一言。それで私は迷うことなく予約した。) 座席に座っていられたのはChristchurchを発車してせいぜい30分足らずだった。私はカメラを持って展望車両に移動した。天蓋こそ付いているものの、その車両は窓枠のない吹きさらしの屋外そのもの。三々五々同好の士が集まってきた。男性も女性も一様に立派なカメラを抱えている。一眼レフのほとんどにNikonのロゴが付いていた。軽さが信条と私の持っていたポケットカメラなどおもちゃのように見えた。 最初はなだらかな田園が広がっていた。所々に防風林が見える程度で、目地はるか彼方の山まで牧草地帯だ。牛や羊が群れをなしている。次第にそれが傾斜を持った地形に変化してゆき、時々汽車に驚いた羊たちが斜面を一斉に駆け上がっていく。その慌てふためく様子をカメラが追う。そしていつしか列車は深い渓谷を見下ろしながら川沿いを走っていた。撮影者たちは絶景を追いかけて、車両の右側から左側へ、また左から右へとポジションを変える。湖のほとりを走ることもあった。その度に良い撮影位置を求めて右往左往する乗客たちは「陣取り合戦」というスポーツに興じているかのようだった。 |
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